アメリカのベビーフードから有毒重金属が検出された件

先月、衝撃的なニュースが飛び込んできました!「市販のベビーフードに基準値をはるかに上回る有毒な重金属が含まれている」という事実が、最新の調査結果により明らかになったのです。

有毒重金属とは、鉛、カドミウム、ヒ素、水銀のことです。これらは赤ちゃんの神経系発達に害を及ぼす可能性があるとも言われていますが、体に良くないことはよーく知られています。

妊娠中、水銀を多く含む魚は避けた方が良いということで皆さん特に気をつけていたかと思いますが、まさか市販のベビーフードにこれらが含まれていたとは…完全に盲点ですよね。

そこで、今回はアメリカのベビーフードに一体何が起こっているのか!?調査報告をもとに詳しく解説していきたいと思います。アメリカ在住の乳幼児ママ&パパさん必見です!

アメリカ大手ベビーフード会社7社への調査

離乳食に高レベルの有毒重金属が含まれているとの報告を受けて、アメリカ政府の経済消費者政策委員会はアメリカの大手ベビーフードブランド7社(下記)へ社内文書とテスト結果を要求しました。

  • Happy Family Organics & HappyBABY
  • Beech-Nut
  • Earth’s Best Organic
  • Gerber
  • Plum Organics
  • Walmart Private Brand
  • Sprout Organic Foods

これらのベビーフードは、アメリカのスーパーでもよく見かける定番ブランドです。離乳食やベビースナックを購入するママ&パパなら誰でも知っているのではないでしょうか!?

この大手7ブランドのうち、上4つのブランドを展開する4社は調査に協力しましたが、下の3つ(Plum Organics, Walmart, Sprout Organic Foods)は協力拒否をしたそうです。

調査に協力した4社のうち、すべてのベビーフードからヒ素、鉛、カドミウムが検出されました。水銀に関してはHappyBabyのみがテストを実施したのですが、やはり検出されたようです。

調査に協力しテストをした製品は全てに有毒重金属が含まれていたことになるので、調査自体に協力していないベビーフードにも同じように有毒重金属が含まれていることは疑いの余地がありません。

オーガニックなら大丈夫とは言えない!

そもそもベビーフードであれば特により安全性の高いオーガニックのものを選ぶと思うのですが、衝撃だったのは、オーガニックのベビーフードにさえ重金属が含まれていたことです。

正直、私も旅行などお出かけの際には市販のベビーフードや乳幼児用スナックを与えていたので、「オーガニックベビーフード=安心安全」という方程式が一気に崩れました。

さらに調査協力の拒否をしたSprout Organic Foodsは、他のブランドに比べて原材料がシンプルでこだわりがあり、個人的に一番信用をしていたのでなんだかショックです。(以前の記事でも紹介したことがあると思います。)

老舗ベビーフードブランドから信用度の高いオーガニックのものまで、そのほとんどが有毒な重金属に汚染されているとは一体どうなってるの!?アメリカのベビーフードよ、、、

過去にも同じような調査結果が発表されていた!

今回のアメリカにおけるベビーフード会社7社への調査結果がニュースなどで大きく報道され、衝撃の事実が広く知れ渡ることとなりましたが、実は過去にも同じように調査がされていたようです。

2017年には非営利団体のClean Label Projectが、2019年にはHealthy Babies Bright Futures (HBBF)が調査をし、やはり上記の大手ブランドを含む市販のベビーフードに有毒な重金属が含まれていたと発表されていました。

調査対象のベビーフードとは?

  • パフなどのベビースナック
  • ビスケットやおせんべい
  • ライスシリアル
  • シリアル(マルチグレインなど)
  • フルーツ(パウチやジャー)
  • 野菜(パウチやジャー)
  • ミックスフルーツ&ベジタブル(パウチやジャー)
  • お肉(ジャー)
  • ベビーミール(野菜、穀物、パスタ、肉などが入ったもの。)
  • ベビーフォーミュラ(粉ミルク)
  • アップルジュース
  • 100%フルーツジュース
  • その他乳幼児用ドリンク

いわゆるベビーフードと言われるジャーやパウチに入った離乳食はもちろん、粉ミルク、幼児用のジュースまでが対象となっているので、乳幼児の食事やスナック、飲み物全般が調査されたようです。

有毒重金属がベビーフードの95%に含まれている!?

2019年のHBBFの調査では、今回の調査のように各企業にテストを依頼したのではなく、アメリカ国内の大手スーパーなどの17のチェーン店からベビーフードを購入してテストが行われました。

さらにこちらの調査では対象もより広く、61のベビーフードブランドの168商品がテストされました。そのうち有毒重金属(ヒ素、鉛、カドミウム、水銀)が含まれていたのが159点だったそうです。

168のベビーフードのうち有毒重金属が含まれていなかったのはたったの9点!159点には少なくとも一種類の有毒重金属が含まれており、そのほとんどは複数含まれていたそうです。

調査結果まとめ

  • ベビーフードの95%に有毒な重金属(ヒ素、鉛、カドミウム、水銀)が少なくとも1種類が含まれていた。
  • 25%には4種類すべての有毒な重金属が含まれていた。
  • 米、さつまいもを含む商品とジュースに最も多くの量の重金属が検出された。
  • テストされたベビーフードの88%は有毒重金属における最大安全レベルに達していない。

オーガニック製品の方がヒ素の量が多く含まれている!?

2017年のClean Label Projectでは、60の異なるベビーフードブランドから500の製品を購入し、第三者機関で重金属、抗生物質、農薬、BPAなどの130以上の汚染物質についてテストされました。

テストされた製品の36%に鉛、58%にカドミウム、65%にヒ素が検出され、粉ミルクに至っては80%にヒ素が見つかりました。特に大豆ベースの粉ミルクからは他と比べて7倍のカドミウムが含まれていました。

さらに驚くべきは、認定されたオーガニック製品にはそうでないものと比べて、約2倍のヒ素が検出されました。(ただし、残留農薬に関しては低かった。)

調査結果まとめ

  • 調査したベビーフードのうち65%にヒ素が含まれていた。
  • 36%には検出可能なレベルの鉛が含まれていた。
  • 「BPA Free」と表記された製品の60%にBPAが含まれていることが分かった。
  • 「認定オーガニック」のベビーフードにはそうでないものより高レベルのヒ素を含んでいた。

有毒重金属が乳幼児に与える影響は?

ある一定の量であれば身体に影響はないのでは?と思うかもしれませんが、実は重金属はあらゆる量で有害なのです。特に鉛は子どもの脳に有毒で、安全な量というのは皆無なのだそう。

また、ヒ素と水銀も神経毒性があります。乳幼児は脳や臓器系が完全に発達していないため、これら重金属の影響を特に受けやすいのです。では具体的にどのような影響があるのでしょうか?

近年の研究で分かっていること

有毒重金属を幼い頃に少量でも摂取すると、いくつかの健康問題、特に知能指数の低下問題行動のリスクが高まり、自閉症やADHDに関連しているとも言われています。

さらにこれらの影響は長期的であり、長期間摂取するほど、膀胱がん、肺がん、皮膚がん、認知症、生殖系の問題、糖尿病などに関連することも分かっています。

ベビーフードの安全性は?

乳幼児が口にするものには特に気をつけている人も多いかと思います。また、疑いもなくベビーフードなら赤ちゃんに優しい素材で、安全だと思い込んでしまいます。私もそうでした。

しかし、FDA(食品医薬品局)はベビーフードに関して基準を設定していない上、有毒重金属の量などに関しても特に制限などもなく、ほとんど規制がされていないのが現状です。

このように規制がされていないので、作る側も有毒重金属に関して特に気にかけることもなかったのかもしれません。とはいえ、このような事実が発覚した以上、これから変わっていくことを願うばかりです。

実際に、フルーツジュースに関しては製造ガイドラインの変更があり、含まれるヒ素の量が10年前よりも63%減少したそうです。また、独自に基準を設けて製造している小規模な会社もあります。

私たち親が知っておくべきこと

そもそもなぜベビーフードに有毒重金属が含まれているのか?私も疑問に思ったのですが、食品の素材自体が土壌や水から吸収したり、保管や加工、輸送中に汚染される可能性があるそうです。

それと同時に、汚染物質は環境中にも存在するので、現代を生きる私たちは、100%クリーンな食べ物を食べたり、汚染物質の含まれていない製品を購入することは残念ながら不可能だと言えます。

食品自体に汚染物質が含まれている可能性は否定できませんが、ベビーフードに関して言えば、やはり市販のものより手作りの方が工程が少なく済む分、汚染物質を摂取する量を減らすことができると思います。

また、調査で明らかになったように有毒重金属は特に「米やさつまいもを含む製品、ジュース」に多く含まれているので、原料にこれらが入っていないベビーフードを選ぶ方が賢明ですね。

さらに独自の基準を設け、より安全な製品を作っている企業も少数ですがあります。ということで、次回は「信頼できるベビーフードブランドやベビーフードの選び方」を紹介したいと思います。

 

 

愛を込めて…

Noriko