以前に全米で話題となった「ベビーフードから基準値をはるかに上回る有毒重金属が検出された」という衝撃ニュース。しかも店頭に並ぶ誰もが知る有名ブランド(オーガニックも)ほぼアウトでした。詳しくはこちらをご覧ください!
今回は、アメリカのベビーフードについての続編ということで、現在販売されているものは本当に安全か?どのように選べばいいか?など、アップデートされた情報とともにお伝えしたいと思います。
なぜベビーフードから有毒な重金属が検出された?
出産して子どもに食事を与えるにあたり、食に対してより気を遣うようになった人も多いかと思います。離乳食に段階があることからも分かるように、乳幼児の食事や食材ひとつひとつにとても敏感にならざるをえません。
そんな乳幼児の食事=ベビーフードは安全であることは当然にも関わらず、なぜアメリカのベビーフードから鉛、ヒ素、水銀、カドミウムという有毒な重金属が検出されたのでしょうか!?
そもそも重金属は自然界に存在しており、世界中の土壌や水に含まれています。大気汚染や水質汚染により堆積物が増加し、植物が成長するにつれて土壌や水から吸収するようですが、市販の商品に存在するにはいくつか原因があります。
- 稲などの一部の作物は成長過程でより多くの重金属を吸収する。
- 地域によって多くの重金属が土壌に含まれている場所がある。
- 重金属が多い地域で育った農作物は重金属のレベルも高くなる。
- 一部の添加物に重金属が含まれている。
有毒な重金属が乳幼児に与える影響
FDA(アメリカ食品医薬品局)によると、これらの有毒な重金属の影響を最も受けやすいのは乳幼児であり、特に脳や神経系の発達において懸念があるとしています。
また、小さな子どもの脳は発達段階にあるため、有毒物質に対して独特の脆弱性を持っており、大人と同量の重金属汚染の場合、はるかに大きな影響を与えることが分かっています。
また、いくつかの研究によって、重金属汚染された子どもは、下記のような脳の機能障害における発症リスクが高いことが示されています。
- IQの低下
- 学習障害や発達障害
- ADHD(注意欠陥・多動性障害)
- 自閉症
従来考えられていた量よりはるかに少量であっても、子どもに深刻な被害を与える可能性があると同時に、一度体内に吸収された有害重金属は、体外に排出されるまで数十年かかると言われています。
市販のベビーフードは安全になった!?
2022年に改めて行われた調査では、アメリカの大手ベビーフードブランド下記9社が選ばれ、Amazonやネットショップ、ワシントンD.C.エリアのスーパーなどから購入された商品が対象となりました。
- Plum Organics
- Sprout
- Parent’s Choice(Walmart)
- Earth’s Best Organic
- Beech-Nut
- Happy Baby Organics
- Gerber
- Yumi
- Little Spoon
再調査において、重金属が検出されなかったベビーフードブランドはなく(商品によって違いはある)、特にお米を原料としているベビーフードに大量の重金属が含まれていることが分かりました。
また、重金属の含有量が少ないベビーフードを調査しているClean Label Projectによると、YumiとOnce Upon A Farmのベビーフードおよびパウチがより安全度が高いと評価されました!
大手ベビーフードブランドの取り組み
調査結果を受けて、各ベビーフードブランドの反応は下記の通りです。
- Plum Organics、Sprout、Walmart は、FDA に従うとともに製品の安全性が最優先事項であるとの声明を発表。
- Earth’s Best Organic、Beech-Nut、Happy Baby Organics は、繰り返しのコメント要請に応じず。
- Gerber は、オンラインで製品を販売している Yumi と Little Spoon とともに、製品から重金属を排除するために策を講じる。
コメントの要請に応じず、、、。Earth’s Bestは特にアメリカのオーガニックベビーフードの先駆者でもあり、私も信頼をおいて粉ミルクから離乳食まで幅広く商品を購入していたので残念です。これからなにか改善があるといいですね!
アメリカ全体でベビーフードの重金属汚染問題が明らかになり、各社「食の安全」を第一に商品の改革を試みている最中ではありますが、今後”ベビーフード=安全”がスタンダードになることを祈ります。
FDA(アメリカ食品医薬品局)によるベビーフードの規制は?
ここ数年、ベビーフードの安全性に懸念があるとともに、重金属が乳幼児に与える影響について様々な研究が発表されましたが、FDAによるベビーフードの規制は特にされていませんでした。
しかし、2022年に乳児用ライスシリアルのヒ素の制限が制定された後、さらに最近FDAに動きがあり、ベビーフードに含まれる鉛の量の上限を提案し、新たなガイドラインが発表されました。
これらは大きな一歩ではありますが、4種の重金属すべてを規制する必要があるとともに、鉛に関しては子どもにとって安全なレベルの鉛はないとの意見もあり、やはり摂取しないに越したことはないのです。
よって、重金属やベビーフードの安全性はベビーフード会社に委ねられているということです。また、乳幼児の安全に関しては、もちろん食品を選び与える私達親に委ねられるということです。
子ども達を重金属汚染から守る方法
1. できれば手作りがベター
重金属は自然界に存在するので、正直手作りであれば100%安全というわけではありませんが、食材を自分で選び、加工工程が少なく、無添加や味の調整もできるので加工されたベビフードより手作りの方がより良い選択です。
また、市販のベビーフードも種類豊富とはいえ、特定の食材ばかりを摂取することになると重金属の積極的な摂取につながるので、手作りであれば多様な種類の野菜や果物からバラエティ豊かに離乳食を提供できるのが◎
2. 原料にお米があるものを避ける
お米はオーツや小麦など他の穀物に比べ、成長過程においてより多くのヒ素を吸収します。実際にこれまでの調査において、お米を使用したベビーフードには他と比べて6〜10倍など圧倒的に多くの重金属が含まれていました。
アメリカでは離乳食の初期にライスシリアルという米粉をお湯に溶かして与えるよう指導されますが(実際私もEarth’s Bestのものを与えていました)、オートミールやマルチグレインを選ぶか、自ら10倍がゆを作るほうが良いです。
また、オートミールはお米よりも重金属の含有量が少ない上、食物繊維も豊富なため消化にもよく、ビタミン、ミネラル、プロテインなど栄養価が高いので、離乳食にもオススメです!
3. CarrotとSweet potatoに注意!
人参とさつまいもなどの根菜は、食物繊維など栄養豊富で赤ちゃんにも食べやすく離乳食におすすめですが、お米同様に重金属を吸収しやすいので少し注意が必要です。
市販のベビーフードであれば、この組み合わせのものばかり与えないように、また他の野菜や果物と合わせてバリエーション豊かに与えることによって過度な重金属摂取を防ぐことができます。
食品による重金属含有量の違い
1. 離乳食におすすめ(重金属少なめ)
- 果物全般(フレッシュ、フローズン)
- 果物のベビーフード
- 野菜全般(フレッシュ、フローズン)
- 野菜のベビーフード(グリーンビーンズ、バターナッツスクワッシュなど)
- プロテイン類(卵、肉、豆など)
- スナック類(野菜や果物、無糖のアップルソース、チーズ、ヨーグルト、ゆで卵など)
2. 注意が必要(ローテーションで与える方が良い)
- キャンタロープ(マスクメロン)
- さつまいも、人参、じゃがいもなどの根菜(フレッシュ、フローズン、ベビーフード)
- 緑の葉物、ベビースピナッチ
- ピーナッツバター
- オートミールやマルチグレインなどの穀物
- オートミールやマルチグレインのベビーフード
- 処理済みの米(5分間ボイルし重金属を除去したもの)
- カリフォルニア、インド、パキスタン産のバスマティ米
- アメリカ産の白米
- 白米
3. なるべく避けた方が良い(重金属多め)
- ドライフルーツ
- ほうれん草(ベビースピナッチはOK)
- サンフラワーシードバター
- インファントライスシリアル(離乳食の一番初めに与えるもの)
- アーカンソー州、ルイジアナ州、テキサス州または米国産の米
- 処理していない米(5分間ボイルし重金属を除去していないもの)
- 玄米
- 100%フルーツジュース(特にグレープ)
- オーツリングシリアル
- お米のベビースナック
4. 避けたほうが良い(重金属非常に多い)
- クリスプライスシリアル
- 処理していない玄米(5分間ボイルし重金属を除去していないもの)
- ライスパフ
- ライスケーキ(ポンセン)
お米の効果的なヒ素の落とし方
米をただ洗うのではなく「沸騰したお湯に米を5分間入れた後、新しい水に浸して炊飯する」ことにより、白米も玄米も高いヒ素の除去率を示す結果が出たそうなので、自炊するときにはこちらがオススメです。
上記から分かる通り、お米の加工食品(ベビー用スナック)には特にヒ素をはじめとする重金属が多く含まれていることが分かっているので、アメリカでは自炊以外の米食品は避けた方が良いです。
安全なベビーフードを与えよう
市販のベビーフードの多くに重金属が含まれているのが現状ではありますが、キーワードとなる米や人参さつまいもが原料となるものは常食しないようにオートミールやカボチャなど代替品を選ぶことが大切です。
また、お米に関してはヒ素を効果的に除去する方法があるのでそれらを試したり、なるべく離乳食もローテーションでいつも同じにならないよう、より多くの種類の野菜や果物を与えられるといいですね。
体はもちろん脳や舌が発達途中である乳幼児は特に「食の影響」を敏感に受けるので、離乳食では安全かつバラエティ豊かな食材を子どもに紹介するような気持ちで楽しみましょう!
愛を込めて…
Noriko