新・食品表示法〜知っておくべきポイント〜

スーパーで買い物をする時、食品をカゴに入れる基準はなんですか?値段、賞味期限、など様々あるかと思いますが、商品の裏(原材料などの食品表示)を見ることでより安全で健康的な食品を選ぶことができます。

食が私たちを作るとよく言いますが、自分が口にするもの、一体何を食べているのか知ることはとても重要ですよね。実は2015年に新しくなった食品表示法。5年の猶予期間を経て2020年4月より、全ての食品表示が新しくなりました。

普段から食品表示をよく見ている方は気がついたかもしれませんが、大きなニュースにもなっていないようなので、意外と知られていないようです。そこで、今回は「新しくなった食品表示」について解説していきたいと思います。

食品表示法どう変わった?

まず、日本における食品表示法は、食品表示3法とも言われ、①「JAS法(農水省)」②「食品衛生法(厚労省)」③「健康増進法(厚労省)」の3つの法律に基づいてそれぞれ異なる整備がされていました。

このように品質、衛生、健康増進という異なる目的とルールが定められていたため、制度が分かりにくいものとなっていました。それを新しく一つにまとめたことでより分かりやすく、使いやすくなったのです。

新しくなった食品表示法によって変わった点はいくつかあります。その中で、私たち消費者が商品を手にとった時にすぐに分かり、また商品選びに役立つポイントは次の3点!

  1. 原材料等の表示
  2. アレルギー表示
  3. 栄養成分表示

1. 添加物が一目で分かるようになった!

これまで原材料を重量の多い順に表示した後、食品添加物を多い順に表示していました。新表示では、重量順の表示は変わらず、原材料と添加物を明確に区分をつけて表示することが義務付けられました。

表示の仕方は3パターンあります。

  1. 原材料と添加物を「/」で区切って表示する。
  2. 原材料と添加物を改行して表示する。
  3. 原材料と添加物を別欄に表示する。

*/の後に添加物が表示されています。

実際に確認してみると、ほとんどの商品が①の表示方法です。原材料を見た時に、「/」以降が添加物だということが一目瞭然なのでとても分かりやすくなりました。

自分が手に取った商品にどれくらいの添加物が含まれているのか注意深く見てみると、思ったよりもたくさん使用されていることに気づくと思います。

2. アレルギー表示がより分かりやすくなった!

食物アレルギーを持つ人の割合は年々増え続けていますが、乳児における食物アレルギーはいまや10人にひとりとも言われています。アレルギーがある場合、食品選びには細心の注意を払わなくてはなりません。

これまでの原材料表記では、一般的にアレルゲンが含まれていると予測できる食品には表示義務がありませんでした。新表示では、明らかに使用していると分かるものであっても、各原材料ごとに「○○を含む」というアレルギー表示をすることが義務付けられました。例:マヨネーズ(卵を含む)など。

また、添加物も特定のアレルゲンを含む場合に「○○由来」と表示することになっています。
例:カゼインNa(乳由来)、たんぱく加水分解物(大豆由来)など。

さらに、原則個別表示が必要ですが、例外として一括表記することも認められており、その場合は全ての原材料と添加物の表記の最後に「一部に○○を含む」と書くことが義務づけられました。

 

3. 栄養成分表の義務化

これまで、①熱量(エネルギー)、②たんぱく質、③脂質、④炭水化物(糖質、食物繊維)、⑤食塩(ナトリウム)からなる栄養成分表示は、「任意」であり、すべての食品に表示されている訳ではありませんでした。

新表示では、原則として、すべての加工食品と添加物にこれら5つの栄養成分表示が義務づけられました。それにより、商品を食べることでどれだけのカロリー、糖分、脂肪などを摂取することになるのかよく分かります。

ちなみに炭水化物には食物繊維なども含まれるのですが、実は糖分の量を表しています。よって「炭水化物=砂糖の量」だということもお忘れなく!

アメリカと日本の食品表示の比較

以前住んでいたアメリカでも、原材料はもちろん食品表示はよーく見ていたのですが、とくに栄養成分表は項目も多く表示されており、とても見やすかった記憶があります。

実際に、日本の栄養成分表の表示義務は、[エネルギー/炭水化物/タンパク質/脂質/ナトリウム]の5項目に対し、アメリカでは倍以上の13項目になっています。

アメリカにおける表示義務のある栄養成分

アメリカでは、以下の成分に表示義務があります。[エネルギー/炭水化物/タンパク質/脂質/ナトリウム/飽和脂肪酸/トランス脂肪酸/コレステロール/糖類/食物繊維/ビタミンA,B/カルシウム/鉄]

糖類はSugarと表示されており、一目で砂糖がどれくらい入っているのかが分かります。また、トランス脂肪酸やコレステロールなど健康被害の恐れのあるものも表示されているので、買い物もよりヘルシーに選択できました。

特に子どものおやつや離乳食を選ぶ際には、とても分かりやすく助かりました。これだけの詳細表示があれば、より賢い食品選びにもつながるので、日本も栄養成分表の項目がもう少し増えるといいなぁと切に願います!

遺伝子組み換え表示制度も改正!

アメリカでは「Non-GMO」という表記で、その商品には「遺伝子組み換え作物を使用していない」ということが確認できます。日本では商品そのものではなく、原材料を見ることで確認できますね。

よく、大豆やコーン、じゃがいもなどの後に(遺伝子組み換えではない)と表示されているのを見たことがあると思います。この遺伝子組み換え表示も2023年に改正され、表示が新しくなるそうです。

遺伝子組み換え表示の変更点

これまでは、※分別生産流通管理をして、「意図せざる混入を5%以下に抑えている大豆及びとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品」に「遺伝子組み換えでない」の表示ができました。

しかし、新制度では上記の条件では「遺伝子組み換えでない」との表記ができなくなります。代わりに、適切に分別生産流通管理された旨の表示が可能になります。例えば「分別生産流通管理済み」など。

「遺伝子組み換えでない」の表示ができるのは、分別生産流通管理をして、遺伝子組換えの混入がないと認められる大豆及び とうもろこし並びにそれらを原材料とする加工品のみなのです。

「遺伝子組み換えでない」表示が消える!?

遺伝子組み換えの混入が全くないものに関してのみ、「遺伝子組み換えでない」の表示が認められるので、基準はとても厳しくなったと言えます。(消費者にとってはありがたい!)

しかし、意図しない混入を0にするには相当な企業努力も必要となる上、「遺伝子組み換えでない」表示は義務ではなく任意であるため、今後この表示をあまり見かけなくなる可能性もあります。

ちなみに、大豆ととうもろこし以外の農産物に対しても、意図せざる混入率の規定はなく、混入が0の場合のみ「遺伝子組み換えでない」表示が認められます。

※分別生産流通管理とは、遺伝子組換えと非遺伝子組換え農産物を生産、流通、加工の各段階で分別管理し、それが書類により証明されていること。

遺伝子組み換え表示は義務

分別生産流通管理が行われた上で、遺伝子組み換えを使用している場合は、必ず「大豆(遺伝子組み換え)」と表示する義務があります。(これは、現行も改正後も同じです。)

また、分別生産流通管理が行われていない場合と、分別生産流通管理をしたが、遺伝子組換え農産物の意図せざる混入が5%を超えていた場合には、「大豆(遺伝子組換え不分別)」などと表示します。

しかし、この表示義務があるのは「原材料の多い上位3位まで、かつ原材料また添加物の重量比5%以上であるもの。」となっています。それ以外は表示しなくても良いという訳です。

よって、たとえ遺伝子組み換えを使用していたとしても、原材料が多くある場合や添加物などにおいてはほとんど表示されない可能性が高く、結局のところ不透明さがあるのが現状です。

食品は裏側を見て買う!

食は生きることの要。美容、健康、ダイエットから思考、心にまで大きな影響を与えます。店頭に並んでいる表のパッケージを見るだけでは、その食品の全てを知ることは不可能なのです。

成分表や原材料を確認することで、自分の口にするものを把握でき、より良い食品選びができるようになります。ぜひ買い物の際は裏側をチェックしてみてください。

 

 

愛を込めて…

Noriko