アメリカの食品表示の見極めポイント

先日、新しくなった日本の食品表示について解説しました。日本は食品パッケージの裏面に情報が凝縮されていますが、アメリカでは、食品パッケージの表にも大量の情報があふれています。

また、ヘルシー志向が高まる一方で、商品パッケージの”ヘルシーワード”も渋滞しています。本当にヘルシーなもの、なんとなくヘルシーそうなものなど実は見極めが大事なのです!

そこで、今回はアメリカにおける食品表示について解説していきます。また、食品パッケージの表に惑わされることなく、本当に良いものを選び抜くコツを紹介します。

アメリカの栄養成分表示

日本の栄養成分表は、カロリー、タンパク質、脂質、炭水化物、食塩の5項目ですが、アメリカではビタミンや鉄分などを含む13項目で、脂質や炭水化物の種類も詳しく表示されます。

例えば、脂質は飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の表示義務があるので、体に良くない油がどれくらい使用されているのかが分かります。また、コレステロールの量も表示されています。

炭水化物に関しては、食物繊維と糖分、砂糖の量が分けて表示されているので、砂糖がどれだけ入っているのか一目瞭然なのです。(日本は食物繊維も砂糖も炭水化物で一括表示となります。)

Nutrition Facts チェックポイント!

アメリカでは、栄養成分が細かく表示されているので、実はより健康な食品を見極めやすいのです!続いて、アメリカの栄養成分表=Nutrition Factsのチェックすべきポイントを解説します。

1. Serving Size (1人分): 人が一回に食べる量の表示。よって、カロリーや脂質などその他の栄養素も商品の大きさに関わらず栄養成分表は"1人分"の表示になっています。

2. Total Fat(脂質)

・Saturated Fat(飽和脂肪酸): 動物性脂肪やパーム油、バターに多くふくまれる。摂りすぎると悪玉コレステロールを増やし、循環器疾患のリスクを増加させる恐れがあるので注意が必要です。

・Trans Fat(トランス脂肪酸): Vegetable Oilに水素を添加した人工油。摂りすぎると悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らす。動脈硬化や心筋梗塞のリスクや喘息、アレルギー、妊産婦への影響が懸念されます。

※アメリカでは2018年より、トランス脂肪酸の食品添加は原則禁止となっています。

3. Sodium(塩分): アメリカの食品は基本的に塩分多めなので、必ずチェックすることをオススメします。

4. Total Carbohydrate(炭水化物)

・Dietary Fiber(食物繊維):整腸作用や糖尿病、肥満予防に効果的。あまりにも表示量が多い場合は加工処理されている可能性が高いので注意が必要です。

Total Sugars(糖分): 野菜や果物の植物素材に含まれる糖分と、精製された砂糖などの糖分の両方を合わせた「食品に含まれる全ての糖分量」を表示します。

・Added Sugars(砂糖): 精製された砂糖など食物素材中に含まない後から添加された砂糖の量を表示します。ここを見ればどれだけ砂糖が添加されているか一目瞭然です!

※糖質制限が必要な場合は下記のように計算します。「Total Carbohydrate – Dietary Fiber = 糖質」

Organic食品の表示について

アメリカにおけるオーガニック表示の代表的なものは、「USDA Organic」ですが、これはアメリカ農務省によるオーガニック認証になります。(日本でいう「有機JASマーク」と同様。)

USDA Organicは製品の栽培・加工・取り扱いについて、厳しい基準を設けており、その基準を満たしたものだけが、USDA Organicの認証マークの表示が許可されます。

USDA Organicの禁止事項と種類

USDA Organicの認証を受けるには、下記のものが全て不使用であることが条件になります。

  • 遺伝子組み換え原料の使用
  • 化学肥料の使用
  • 除草剤の使用
  • 抗生物質の使用
  • 成長ホルモンの使用
  • 下水汚泥
  • 放射線照射
  • 化学合成物質の使用(甘味料や着色料、保存料など)

・USDA 100% Organic

生産工程、加工する段階で使われるものも含めて全て(水と塩は除外)、100%の原料がオーガニックであること。製品にUSDA Organic認証マークを貼り付けることができる。

・Organic

95%以上の原料がオーガニックであること(水と塩は除外)。残りの5%は、非有機農産物や、酵素、ペクチン、重曹などの非農業製品を使用できる。製品にUSDA Organic認証マークを貼り付けることができる。

・Made with Organic

70%以上がオーガニック原料であること(水と塩は除外)。 残りの30%は、非有機農産物は使用できるが、遺伝子組換えやその他のナショナルリスト(禁止物質)に該当する原材料は使用できない。

製品をオーガニックと謳うことや、USDA Organic認証マークの貼付は認められない。しかし、「made with organic」と記載することはでき、オーガニック原料は、原材料表記に記載できる。

・Specific Organic Ingredient

オーガニック原料が70%未満の場合(水と塩は除外)は、製品をオーガニックと謳うことや、USDA Organic認証マークの貼付は認められない。原材料には「Organic apple」などと記載することができる。

NON GMO Projectって何!?

アメリカでは、USDA Organicと同様に「NON GMO」の認証マークもよく見かけるかと思います。GMOとはGenetically modified のことで、遺伝子組み換え作物のことを示します。

よって、NON GMOは非遺伝子組み換えという意味で、NON GMO Projectの認証マークが付いている食品には遺伝子組み換え作物を使用していないということになります。

日本には遺伝子組み換え作物に関しての明確な認証はありませんが、アメリカでは食品パッケージの表を見るだけで、遺伝子組み換えを使用しているのかどうか確認できます。

NON GMO認証マークの落とし穴

実はNON GMO認証マークの基準は「遺伝子組み換え不使用」のみ。よって、化学肥料、除草剤、抗生物質、成長ホルモン、下水汚泥、放射線照射は使用が認められているのです。

NON GMOが付いていれば安心と思いがちですが、NON GMOとUSDA Organicであれば、断然USDA Organicを選ぶべきなのです。Organicであれば当然「遺伝子組み換え不使用」だからです。

NON GMO認証マークは、それだけで健康かつ安全な気がしますが、基準が遺伝子組み換えのみなので、加工品や特にチップスなどのスナックで多く見られるので注目してみてください。

誇大ヘルシーワードに惑わされない

アメリカでは、消費者の食に関するヘルシー志向に応えるように、ヘルシーな食品が多く店頭に並んでいますが、商品パッケージにはヘルシーワードがあふれています。

商品パッケージを一目見て、”ヘルシーそうなもの”や”安全そうなもの”に惑わされないことが大切です。実はあまり意味のないヘルシーワードもいくつかあるのです。

・Natural、100% Natural、All Natural

最もよく見かけるヘルシーワードですが、この表示は残念ながら、ほぼナチュラルな商品とは言えません。なぜならFDAによって特に規制がされていないため、簡単に使用できるからです。

たとえ人工着色料、人工甘味料、化学防腐剤やGMOが使用されていたとしても、商品パッケージに"All Natural"と表示してもOKなのです。(実際ありとあらゆるものに使用されてます。)

・Low Calorie

カロリーが低いと言うことは確かにヘルシーではありますが、"Low Calorie"表示= ヘルシーチョイスではありません。この表示が意味することは「人工甘味料を使用している」ということだからです。

アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムKなどの人工甘味料はカロリーが低い一方で甘みがとても強いため、脳が錯覚を起こします。また、中毒性があるので注意が必要なのです。

・High Fiber、High Protein

食物繊維やタンパク質は人間にとって重要な栄養素であり、食事からたくさん摂るのが良いとされています(これは正しい)。しかし、これらの表示は「加工処理されている」という意味にもになります。 

何度も加工処理された食物繊維やタンパク質は胃腸へ負担をかける可能性があるため、加工食品でこれらの栄養を補うよりも、野菜や果物、穀物、肉魚、豆などホールフードを食べる方が賢い選択と言えます。

・No Added Sugar

実はこの「砂糖不使用」表示には、二通りの意味があります。一つは果汁などを使用していて一切砂糖を使用していないもの。もう一つは、人工甘味料を使用しているものです。

砂糖不使用だからヘルシー!と安易飛びつくのはNG。これに関しては、食品パッケージの表だけでは分からないので、裏の原材料(ingredients)を必ず見たほうが良いですね。

・Ingredientsをよく見て購入

アメリカの食品パッケージの裏側を見てみると、栄養成分表は大きく目立つのですが、原材料名(Ingredients)は結構小さく表示されています。

そして、加工食品はIngredientsがだいたい長い!こんなに色んなものが入ってるの!?と驚きます。なるべくIngredientsが少なくシンプルなものを選んだ方が良いですね。

迷ったらオーガニックを選ぶ

アメリカでの食品選びは、種類も多い上、難しい単語も並んでいたり、じっくり見てもよく分からないことがあるかもしれません。そんな時は、オーガニックを選ぶのがオススメです。

オーガニックであれば、必然的に大量の添加物や化学合成物質を避けることができるからです。特に加工品であるほどオーガニックの方がより安全でヘルシーな選択ができます。

健康と美容のためには、やはり自分が口にするものは出来るだけ把握しておくのが大切かと思います。商品パッケージの裏側を見る癖をつけてより賢い買い物をしましょう。

 

 

愛を込めて…

Noriko