アメリカの乳製品事情と選び方

前回の記事「牛乳は体に良い?悪い?」では牛乳に関する噂や真実を解明し、メリット、デメリットを紹介しましたが、今回はアメリカの乳製品について詳しく解説していきたいと思います。

アメリカのスーパーマーケットでは、全ての商品において種類が多いのですが、乳製品に関しても質や値段はピンキリで量もすごく多いです。(1ガロン=約3.8Lの牛乳を初めて見た時には衝撃を受けました。笑)

さらに、アメリカの乳製品は日本はもちろんその他の国とも少し違う事情があります。なのでアメリカの乳製品について知った上で、より注意深く選ぶ必要があるのです。

アメリカでは絶対にオーガニックの乳製品を選ぶべき4つの理由!

1.成長ホルモン

アメリカの乳製品の中には、成長ホルモンが混ざっているものがあります。これは、牛のミルクの生産量を上げるために成長ホルモンの注射を牛に打っているからです。

この成長ホルモンは乳製品を通して私たち人間にも影響があり、がんのリスクを高めるとの研究結果もあります。また、ヨーロッパを始めとした世界30ヵ国以上で使用を禁止されているのです。

さらに、成長ホルモンは牛の乳房感染症や足の異常、生殖障害を引き起こすと言われており、結果的に抗生物質も使用しなくてはならなくなり悪循環なのです。

2.抗生物質の乱用

米国食品医薬品局(FDA)の報告によると、アメリカの抗生物質のなんと80%が家畜に使用されているそうです。しかも、これらは家畜が病気だから使用されるのではないのです。

多くの農家は家畜を太らせるためだけに、一定の低レベルの抗生物質を家畜に与えています。特に牛の場合は成長ホルモン使用の影響もあり、より多くの抗生物質が使用されると考えられます。

またWHOが「家畜への抗生物質の乱用は抗微生物薬耐性(微生物に対して薬が効かなくなること)を増加させ、人間の健康危機にも影響を与える。」と警告しています。

3.遺伝子組み換えや化学物質たっぷりの飼料

牛の飼料には遺伝子組み換えのものが与えられることが多く、その理由は除草剤に対抗するためです。アメリカではこのような化学物質が当たり前のように使用され年々増加していると言われています。

さらにこの除草剤(ラウンドアップ)の主成分でもあるグリホサートは牛や牛乳にはもちろん、授乳中の女性の母乳からも残留物が検出されたことが分かっています。

また、グリホサートの残留物の摂取は腎臓病に関連しており、糖尿病やがん、うつ病、自閉症、不妊症、アルツハイマーなどの一因になると言われています。

ちなみにアメリカで使用されているラウンドアップという除草剤やラッソーという農薬は、ヨーロッパではほぼ使用禁止になっています。残念ながらこれらはアメリカ同様にいまだ日本でも使用されています。

4.栄養価

上記で示した通り、ほとんどの牛は健康なミルクを生産するための食事を与えられていません。牛の餌になるトウモロコシの過剰摂取は、不健康なオメガ6脂肪酸を作り出し、牛乳にも影響します。

オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸のバランスが大切で、オメガ6脂肪酸の比率が高くなるほど、心血管疾患、がんや自己免疫疾患など様々な病因を引き起こすと言われています。

また、いくつかの研究でオーガニック乳製品の脂肪分の方がより健康で抗酸化物質も多いことが分かっています。良質の脂肪は体脂肪を減らし、心血管疾患やがんのリスクを減らすことも分かっています。

乳製品はオーガニックを選ぼう!

  • オーガニックなら100%牛に対して成長ホルモンは使用されない
  • オーガニックの場合、抗生物質も使用されていない。(万が一病気などで使用した場合はオーガニックから除外されます。)
  • オーガニックの乳製品は、牛の飼料も100%オーガニックであり、もちろん遺伝子組み換え作物も使用禁止
  • オーガニック用乳製品の牛の飼料に、合成農薬やラウンドアップなどの除草剤を使用することも禁止されている。
  • オーガニックの牛は少なくとも年の三分の一は草を食べなくてはならないので、結果ミルクの栄養価が高くなる
  • Grass-fedと言われる牧草飼育牛の乳製品はオメガ3とオメガ6脂肪酸のバランスが良く、有益な脂肪のレベルも上がり、抗酸化物質も増える

ちなみにアメリカのオーガニックミルクは「超高温瞬間殺菌(UHT)」なので、日本人にとっても飲みやすく馴染みがあるかと思います。日本の牛乳の9割以上が超高温瞬間殺菌で処理されています

以上の点から、アメリカでは牛乳はもちろん、ヨーグルトやバターやチーズなど全ての乳製品において、オーガニックを選ぶことをオススメします。(ローカルのものが手に入るのであればなお良いですね!)

乳製品との賢い付き合い方

「オーガニックの乳製品は高い…」確かに従来のものと比べてお値段は2、3倍はしますよね。しかし、安全性に加え、健康リスクやダイエットなどの利点を考えるとやはりそれだけの価値があるのだと思います。

我が家の食卓では乳製品は嗜好品という位置付けで、基本的には料理のアクセントに使用する程度にしています。ヨーグルトに関してはメリットが多いので頻繁に食卓に並びます。

また、牛乳なら豆乳やアーモンドミルクなどの植物性ミルクに、バターであればココナッツオイル、生クリームもココナツミルクや大豆由来のものに代用できます。

このように、お財布と相談しながらオーガニックの乳製品と植物性のものを上手に組み合わせて日々の食卓に取り入れてみると良いかと思います。

また、スーパーマーケットではオーガニックのシンボルでもあるUSDAの表示のあるもの、もしくはローカルのものであればgrass-fedと表示されているものを探すようにしましょう。

 

 

愛を込めて…

Noriko