牛乳は体に良い?悪い?

牛乳はかつて「完全栄養飲料」と言われ、日本の食文化にも根付いていますが、近年では「牛乳は体に悪影響」などという意見もあり、いまだに不透明なところがある食品の一つだといえます。

また、牛乳は子牛の飲み物であって人間が飲むのは不自然などと聞いたことがあるかもしれません。私もよく「牛乳は飲まない方が良いの?」という質問を受けることがあります。

実際、私自身は小学生の頃に牛乳を飲むとお腹の具合が悪くなることから一切飲まなくなったのですが、子どもが産まれてからというもの医師から勧められるたびに子どもに飲ませるかすごく悩んだ時期がありました。

牛乳に関して様々な説がありますが、「結局のところどうなの!?」という疑問から、ここ数年ずっとリサーチしていましたが、世界の研究結果や科学的根拠を踏まえた上で私なりに結論を出しました。

そこで、今回は牛乳のメリットとデメリットを紹介しながら牛乳についての”噂”ではなく”真実”を解明していきたいと思います。

牛乳のメリット 

昔から完全栄養飲料と言われてきましたが、実際に牛乳にはタンパク質、カルシウム、ビタミンB2が豊富に含まれており、特にマグネシウムには骨を強くし、筋肉機能を高める働きがあります。

さらに、牛乳の特徴でもあるホエイとカゼインには血糖値を安定に保つ役割があるということが、近年の研究で分かってきています。では、他にはどんなメリットがあるのでしょうか?

・骨や歯を健康に保つ

牛乳は特に子どもの骨密度改善に効果的で、幼少期の骨折のリスクも減らすということが分かっており、牛乳に含まれるミネラルは骨や歯の健康に役立ちます。

また、乳製品やカルシウムが豊富な食品を多く含む健康的な食事をした妊婦は、そうでない妊婦と比較して、骨の成長と量が多い子どもが産まれたという研究結果もでています。

・食欲の抑制

牛乳は脂肪分が多いため太ると思われがちですが、実は体重増加や肥満には関連しないと言われており、乳製品を摂取することで満足感が増し、結果的に食事全体における脂肪分の摂取量を減らすことができるのです。

さらに、全脂肪の乳製品(脂肪0や低脂肪ではないもの)を摂取することがダイエットにもつながり、体重増加の抑制に効果があるといくつかの研究で証明されています。

・糖尿病や心臓病の予防

牛乳を飲むことで、糖尿病予防にも役立つとの研究結果も出ています。これは牛乳に含まれるタンパク質が血糖値をコントロールするためだと言われています。

また、牛乳の脂肪分が善玉コレステロールの数値を上げることで、心臓病予防に役立つそうです。さらに、牛乳に含まれるポタシウムは血圧を平常に保つのを助けます。

牛乳のデメリット

牛乳にはその豊富な栄養素から骨や歯などの健康や食欲抑制、血糖値や血圧のコントロールなど様々な健康効果が期待できる一方で、いくつかのデメリットもあります。

牛乳のデメリットは、牛乳の質、飲み過ぎによるものや、各個人の体質によるものに関連するのですが、実際私たちにどんな影響があるのかみていきましょう。

・乳糖不耐症

牛乳には大量の乳糖(ラクトース)が含まれているのですが、世界人口の約70%はこの乳糖をうまく分解できない体質であり、牛乳を飲むとお腹に不調が生じたり、下痢になったりするのです。

特に日本人は3人に2人が乳糖不耐症と言われており、牛乳を飲むことにより腸内環境を乱すことになるため、自分の体質に合っているか、体の声を聞くことも必要となります。

乳糖不耐症だと感じる場合は、もちろん無理に飲む必要はなく、豆乳など代替ミルクにしたり、どうしても飲みたい場合は少量にするか、ラクトースフリーの牛乳を飲むと良いかと思います。

・アレルギー

子ども達の約5%が牛乳アレルギーを持っているとも言われています。他のアレルギー食品と同様に人によって様々な反応が起こるので、特に離乳食の際は慎重に与える必要があります。

また、子どもが成長する過程で牛乳アレルギーを克服する場合もあり、逆に大人になってから牛乳アレルギーを発症する可能性もあります。

・がんのリスク

牛乳の1日の摂取量が60〜120mlで乳がんのリスクが30%アップすることが最新の研究結果で出ています。さらに240mlで50%、500mlで70%と、1日の摂取量が多くなるほどリスクも高くなるそうです。

さらに、牛乳や乳製品の摂取が前立腺がんおよび子宮内膜がんなどのリスクも上げるとも言われています。ただし、こちらは1日に600ml以上摂取した場合なので、過剰摂取が原因ともいえます。

・ホルモン剤や抗生物質の影響

牛を育てる際に、生産性を上げる目的の他、病気の牛の治療目的としてホルモン剤や抗生物質が投与されることが分かっています。(全てがそうではありません。)

特にアメリカでは生産性を上げるために成長ホルモンを牛に投与されており、これががんのリスクを高め、健康被害があることも分かっています。そのため成長ホルモンに関しては、ヨーロッパや日本でも使用を禁止されています。

ちなみに日本では基本的にはホルモン剤や抗生物質の使用は禁止されているのですが、治療目的としては使用しても良いことになっています。(実際にどれくらい使用しているのかは不明です。)

また、牛の飼料に遺伝子組み換え(GMO)のもの、農薬や化学肥料がたっぷりと含まれている可能性があるので、注意が必要です。牛に有害なのはもちろん、人間にも影響があることは言うまでもありません。

子どもと牛乳:牛乳は必要不可欠ではない!?

牛乳は子どもの成長に不可欠として推奨されてはいますが、牛乳を飲まないことによる健康や成長に対する差は特にないとのデータもあり、牛乳を飲まない子は耳の感染症や喘息を発症する可能性が低いとの研究結果も出ています。

一方で、メリットでも挙げたように子どもの骨と歯の健康に役立ちます。なのでアレルギーや乳糖不耐症でなく、子どもが嫌がらなければ飲ませても良いと思います。

また、牛乳は脂肪分も多いので、特に低体重の子には良いカロリー補給になります。我が家の長男ももともと小さく産まれたのもあり、なかなか体重が増えず、何度も担当医から牛乳を飲ませるようにと指導されました。

しかし、息子は牛乳が苦手だったのかあまり飲まず、病院ではやはり体重を指摘され、最終的にはチョコレートやバニラなど味付きのミルク(砂糖たっぷり入っている)まで飲むように言われました。

そのうちに、そこまでして牛乳を飲ませる必要はあるのか?体重を増やす必要はあるのか?そんなことを思いながら、牛乳を無理に飲ませることを辞め、バランスの良い食事に重点を置くことにしました。

息子も成長するにつれ、体重も気にならなくなり、体質的にスキニーではありますが、成長にも健康にも全く問題ありません。(たまに牛乳や乳製品も摂取しています。)

子育てにおいて「これをするべき、しないべき」というのは自分を追い詰めますよね。この牛乳に関しても、「飲むべき、飲まないべき」ではなく「飲みたければ飲む。」と言う軽いスタンスでいるのが良いかと思います。

結論:牛乳は体に良い?悪い?

ここまで牛乳のメリットとデメリットを見てきましたが、結局牛乳は体に良いのか悪いのか、、、結論は「摂取量と質、体質による」です。栄養価は高いので体に良い面もある一方でリスクもあります。

総合的に考えて「完全栄養飲料」というより、栄養のある「嗜好品」と考えた方が良いです。栄養豊富だからとガブガブ飲むのはNG!たしなむ程度にして、牛乳と上手に付き合うのが大事だと思います。

アレルギーや乳糖不耐症の人や牛乳が苦手な人はもちろん無理に飲む必要はなく、豆乳など代替ミルクを飲むことができます。ちなみに様々な代替ミルクが出ていますが、一番オススメは豆乳です。

牛乳との上手な付き合い方

  1. 1日に飲む量はコップ2杯が上限:コーヒーに少し入れる、シリアルに足す、料理に使用するなど少量にし、1日コップ1〜2杯までとし、飲み過ぎないこと。
  2. 量より質:牛乳はオーガニックのものや、のびのびと牧場などで大切に育てられた牛の牛乳など、質の良いものを少量飲むようにする。
  3. 牛乳の栄養素は他からも摂取できる:栄養が豊富だと言われる牛乳の栄養素は他からも摂取できるので、無理に飲まなくてもバランスの良い食生活を心がければ大丈夫。
  4. 牛乳に依存する必要はない:カルシウムやタンパク質などは野菜(特に濃い緑の葉野菜)やホールグレイン(玄米や全粒粉)、ナッツ、大豆からも摂取できます。
  5. 牛乳よりギリシャヨーグルト:同じ乳製品を摂るのであれば、ギリシャヨーグルトがオススメ。普通のヨーグルトよりタンパク質も多くプロバイオティクスが含まれているので腸の健康にも良いです。

最後に、牛乳は人それぞれの体質にもよるので、飲む飲まないの選択は自由であるとも言えます。牛乳に関しては下記の3つがキーワードとなります。

  • 体質と相談
  • 飲み過ぎ注意
  • 質の良い牛乳を選ぶ

牛乳を飲むのであれば、質の良い牛乳を選び、飲み過ぎに注意すること。牛乳を飲まないのであれば、代替ミルクを飲んだり、栄養を他から摂取すれば大丈夫です。

牛乳は絶対飲んではいけないものでも、絶対飲まないといけないものでもないので、あまり神経質にならずに気楽にいきましょう。皆さんの牛乳に関する疑問やモヤモヤが少しでも解消されれば幸いです。

 

 

 

愛を込めて…

Noriko