他人事ではない食料問題

10月ももう終わりに近づいていますが、、、10月16日は国連が定めた”世界食料デー“でした。これは、最も重要な基本的人権のひとつでもある“食料への権利”を実現し、飢餓を解決することを目的に制定された日なのです。

私自身、もともと食に対する欲がとても強く、食べることが大好きなので1日のうち食べ物について考えることが多いのですが(ただの食いしん坊。笑)、誰にとっても生きる上で食べ物は切り離せない存在だと思います。

そして、今月は特に食料問題について考える機会があったので、今世界で起きていることはもちろん日本に住む私たちが直面している食の問題についてもぜひシェアできればと思います。

食糧問題とは?

実は食料と食糧には違いがあるのですが、ご存知でしょうか?食料は”食べ物全てのこと”をさし、食糧は”主食のこと”を言います。よって食糧とは世界で主食とされている米、小麦、トウモロコシ、イモ類などのことなのです。

今や世界の飢餓人口は8億1100万人とも言われており、10人に1人が飢餓に直面しています。しかし、これは単純に食べ物が足りないのではないのです。実際に、世界のすべての人たちが十分に食べられるだけの食べ物はあるのです。

なぜなら、毎年世界では、約26億トンの穀物が生産されており、もし世界の総人口77億人に平等に分配されたならば、1人当たり年間340kg以上食べられる計算になります。(ちなみに日本人が実際に食べている穀物は、年間154kgです。)

このように主に主食となる穀物だけでも十分な量が生産されているので、その他の肉や魚、野菜や果物などを合わせれば全人類が満足できる量の食べ物が確保されていることになります。

なぜ飢餓は終わらないのか!?

飢餓の問題は昔から続いています。私も小学生の頃に本で飢餓により満足に食べることができない子ども達のことを写真などを見て知りましたが、原因は貧困によるものなのだと思っていました。

21世紀になり、技術や科学が進歩し、さらに食べ物は足りているはずなのになぜ飢餓は終わらないのでしょうか?もちろん貧困によるものでもありますが、様々な原因が絡み合っているのです。

異常気象や自然災害

飢餓は開発途上国の人たちに多いイメージがありますが、特にアフリカやアジアの国では農業で生計を立てている人の割合が高いという事実があり、これが原因の一つにもなっています。

また、飢餓に直面している人たちの約7割が農村部に住んでおり、そのほとんどが小規模な農家のため、天候に左右される上に自然災害などにより安定した収入を得ることが難しく生活が成り立たなくなってしまいます。

近年、世界中で異常気象が起こっており、たくさんの被害が出ていますが、特に酷暑や干ばつ、洪水、暴風雨などが農作物の不作に多大な影響を与えています。

異常気象の原因の一つには温暖化があげられますが、その温暖化の要因とされる二酸化炭素に関しては排出量のほとんどが先進国によるものであり、アフリカ全体のCO2排出量は日本と同じくらいです。(世界の3.5%ほど)

国際市場での食料価格の変動

2000年代以降、食料の国際価格は高騰し続けており、不安定な傾向が続いています。特に食料の多くを輸入に頼っている国では、国際市場での食料価格の変動が直接的に生活に影響します。

どの国も、国際市場に影響されないように、自国の食料生産を安定させることが第一であり、例えば日本のような先進国は、農作物が不作だったとしても世界中から食べ物を手に入れることができますが、開発途上国にはそれが難しいのです。

これは植民地時代より先進国に輸出するためだけの作物(カカオやコーヒーなど)を生産してきた歴史があるため、開発途上国のなかには、主食の穀物を輸入に頼っている国が多々あるのです。よって国際市場での価格変動の影響がより大きいのです。

食料の需要と供給がアンバランス

全世界で生産されている食料のうち、その3分の1は捨てられています。先進国では余った食料が捨てられる一方で途上国では飢餓人口が増えていることが近年問題になっています。

また、中国やインドでは国の発展により急激に肉などの需要が増えています。畜産物の生産には多くの穀物が必要なのですが、牛肉1㎏に対し11㎏、豚肉1㎏には7㎏、鶏肉1㎏には4㎏の穀物が使われるのです。

このように人間の主食でもある穀物はただ人のために生産されるのではなく、今では国際的に流通し、大量消費される牛や豚などの家畜のエサや甘味料、バイオ燃料の原料としても利用されるのです。

今現在、世界の全人口に十分な食料が生産されているとはいえ、”人口増加” “肉の大量消費” “家畜のエサ” “甘味料、バイオ燃料の原料” など需要は増えており、今後さらに課題となっていくのではないかと思います。

食品ロスについて

食品ロスとは、本来食べられる食品を捨ててしまうことで、食べ残しはもちろん、賞味期限切れで捨ててしまうことなどを言うのですが、この食品ロスは、全世界で毎年13億トンと言われ、まだ食べられる食料の3分の1が捨てられています。

日本においては、年間の食料廃棄量は2759万トンですが、そのうち食べ残しや賞味期限切れなど、食べられたはずの食べ物の”食品ロス“が643万トンになります。(1秒間に8600個のおにぎりが廃棄される計算!)

そして、このまだ食べられるのに廃棄される食品643万トンは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料援助量の1.4倍に相当します。なんと世界の食料援助量より、日本の食品ロスが多いのです!

食品ロスの問題点

食品ロスは、世界には満足に食べられない人々がたくさんいるのに、まだ食べられるものを捨てるなんてもったいない!というのはもちろん、他にも私たちに直接関わる問題が多々あるのです。

食品ロス=廃棄をするということなので、食べられる食べられない問わず全てがゴミになります。ゴミが増える上に、そのゴミを焼却するということにもお金がかかってきます。

・地球温暖化への加担

ゴミの焼却により、温室効果ガスである二酸化炭素が発生することによって、地球温暖化が進んでしまいます。食品ロスによって排出される温室効果ガスの量は36億トン。これは、世界の温室効果ガス排出量の約8%を占めています。

・資源も大量消費

食料を生産するために、水や土地などの資源は欠かせません。食べ物を捨てる=これら地球上の限られた資源も無駄にすることになります。世界で利用されている水のうちなんと約70%が食料を生産するために使われているのです。

・買う捨てるでコストも二倍

日本の一般廃棄物の処理コストは約2兆円もあり、そのうち食品ロスにおける処理コストは2200億円〜2300億円にもなります。この処理にはもちろん私たちの税金が使われています。

さらに日本の場合は食料自給率が低く、わざわざ海外から輸入して食料を買っている上に、それらを多く捨ててしまっているので、買うコストと捨てるコストの両方で莫大なお金を使っていることになります。

・将来魚が食卓から消える!?

日本のお寿司は最高!焼き魚や煮魚など魚料理も豊富な日本ですが、漁獲量は年々減ってきているのです。これは魚の獲りすぎが原因とも言われていますが、想像以上に深刻化しており、将来魚が食卓から消える可能性もあるのです。

私たちの行動が解決に

食料問題はとても大きな問題ではありますが、何もしないでは何も変わらない。結局一人一人の行動が解決に繋がるのではないかと思います。今すぐ私たちにできることはなんでしょうか?

1、もったいない精神

食べ物を残す分、ゴミも増えるので、まずは食べ残さない。食べ残しや賞味期限切れなど捨てることにならないように、買いすぎない。買い物時には余分なものを買いすぎないために買い物リストを持ち歩くのがオススメです大量生産、大量消費はもう時代遅れ。もったいない精神を大切にしましょう!

2、食料在庫と保管方法の工夫

奥に眠って忘れられた食料は意外と多いので、冷蔵庫やパントリーの中を把握する。なるべく整理して何があるかを把握し、冷凍保存などを利用して保管方法も工夫すると食品ロスも減らすことができます。

3、肉の消費を減らす

家畜のエサに大量の穀物が使われているので、実は少しお肉をメニューから減らしてみるだけでも地球温暖化や飢餓への問題解決に近づきます。週に一度でもお肉を食べない日を作ってみると良いですね。

おにぎりアクション

身近に潜む食料問題はじわじわと私達の生活に影響を及ぼしていますが、世界に目を向けた時、やはり飢餓は急務の課題です。何かできることはないか?と思っていたところ、とても良いプロジェクトを見つけたので少し紹介します。

その名も”おにぎりアクション“!世界の食料問題の解決に取り組んでいるTABLE FOR TWOが7年前から行なっているのものなのですが、日本の代表的な食べ物“おにぎり”で世界をより良いものにするハッピープロジェクトなのです。

おにぎりの写真をSNS(Facebook, Instagram, Twitter)またはおにぎりアクションの特設サイトに#OnigiriActionを付けて投稿すると、1枚の写真投稿につき給食5食がアジアやアフリカの子ども達に届きます。

今年は国内28の企業・自治体・学校がこの取り組みに賛同し、さらにアクション(寄付の輪)が広がっていますが、楽しく気軽に参加できるのが良いなと思います!11月5日まで開催しているので、ぜひアクションを起こしてみてください。

より良い世界にするために

何かと話題の”SDGs(持続可能な開発目標)”には食料問題ももちろん含まれています。2030年までに達成するために、2020年からは”行動の10年”と言われていますが、一人一人の小さな行動が、地球規模に大きな行動となるのです。ぜひ今日から一つ何か始めてみましょう。

 

 

愛を込めて…

Noriko