住んでみて分かったアメリカのリアル

アメリカから帰国して早4ヶ月。子ども3人を連れてのコロナ禍での引っ越しに新生活と、なかなか落ち着かない日々を過ごしておりました。(しかも、いまだに荷ほどきが終わっていません…笑)

アメリカで過ごしたこの6年で結婚、新婚生活、3度の出産を経験しました。人生の新しいステージをアメリカでスタートさせたこともあり、車の運転から子育てまで初めてのこと尽くしでした。

もちろん大変なことも多々ありましたが、思い出すのは楽しいことばかり。アメリカ生活にフィットしすぎたのか、ホームは日本なのに完全にホームシックにかかっています。アメリカがとっても恋しい!笑

逆カルチャーショックなどもあり、気持ちが新生活に追いつかずブログもなかなか更新できずにいたのですが、また新たに始めようと思います。今回は「約6年のアメリカ生活でみえたこと感じたこと」を紹介していきます。

アメリカの良いところ

                  

1. アメリカ人はフレンドリーの極み

すべてのアメリカ人がフレンドリーかというともちろん人それぞれではありますが、これまで出会ってきたアメリカ人の多くはとても気さくに話しかけてくれたり、挨拶を交わしてくれました。これは知り合い、友人、外で出会う他人も含めてです。

他人でも目が合えばニコッと微笑み、いきなり話しかけてくる人もしばしば。特によくあったのは服装や身につけているものに対して、「それ可愛い!」「その格好好き!」「どこで買ったの?」と褒める人が本当に多いのです。

また、エレベーターや飲食店、空港などの待ち時間などでは必ずと言っていいほど他人同士の会話が始まります。会話がすごく盛り上がっているので友達同士だと思ったらまさかの初対面ということがよくありました。

さらに、赤ちゃんや小さい子を連れているとますます話しかけられる機会が増えます。全体的に老若男女問わず子ども好きな人が多い印象がありますが、子連れ外出する時には必ずなにかしら他人との交流がありました。

実は”なぜアメリカ人はこんなにフレンドリーなのか”と議論になったことがあるのですが、これはある意味銃社会であるアメリカの象徴でもあり、自分は悪い人間ではないということを表現し身を守るために微笑んだり、挨拶したり気さくに振る舞うようになったのではないか!?

そのような見解もあるようです。どちらにしても、アメリカ人のフレンドリーさには感心するとともに、もともとシャイな日本人の私にとってとても羨ましい存在でもあり、生活する中で何度も救われたのは言うまでもありません。

2.何でもかんでもビッグなアメリカ

ご存知の通りアメリカは国内でも時差があるほど国土が広いのですが、実際に住んでみて思ったことは”土地が有り余っている”!笑 大都市を除いてはすべてにおいて十分なスペースが確保されているのです。

ハリウッド映画で見たことあるような、見渡す限りのコーン畑や草原が至るところに存在します。グランドキャニオンに代表されるように少し車を走らせれば壮大な自然に辿り着くことができるのです。

また、住宅、道路、駐車場、トイレ、スーパーマーケットなど、とくに公共の場において感じることが多かったです。空間が広いからなのか、車しかりベビーカーなど”モノ”もこぞって大きいものが多いのです。

正直アメリカから日本へ帰国するにあたってこのスペースとモノの大きさのギャップにとても苦労しました。笑 そのためアメリカで買ったお気に入りのモノもサイズ感が合わずお蔵入りに、、、なんてことも!

さて、アメリカでは”大は小を兼ねる”ではないですが、特にショッピングにおいて大きい=個数や量が多いことがお得になることがよくあり、食べ物などもびっくりするくらい規格外のものが溢れています。笑

「2 buy get 1 free」(2つ買うともれなくもう1つついてくる)や「5 buy get ○% off」(5つ買うと○% off)など大量に買うほどディスカウントされることが多々あります。スタバなどもサイズが大きいほどお得になってますよね!

3. アメリカ人はジェントルか?

よく日本でも話題になる「レディファースト」や「エレベーターにおけるジェントルな振る舞い」についてですが、やはりボタンや扉を押さえながら”お先にどうぞ”と待ってくれる人が圧倒的に多いです。

また、アメリカはお店なども大型スーパーマーケット以外はほぼ自動ドアではなく、開閉式のドアなのですが(これが結構重い)、必ずと言っていいほどドアを開けて待っていてくれるのです。

実際にベビーカーを押して子供服店に入ろうとした時に、小学校低学年くらいの子がドアを開けてくれたり、ある時は店内で買い物していた人が私に気づくなり走って入り口まできてドアを開けてくれたこともありました。

レディファーストの文化が根付いているので、ジェントルマンがあふれているのはもちろん、実は女性も同じように親切な人が多いです。しかも、子どもまでがこの「ドアを開けて待つ」ということを小さい頃から身につけているのです。

4. 良い意味で世話焼きな人達

アメリカに来て心が温まったことは多々あるのですが、それはアメリカの人達がとてもフレンドリーかつ面倒見も良く、困った人に手を差し伸べる精神がとても強いからだと思います。

スーパーマーケットの駐車場でバッテリーが上がって車が動かず困っていると、土砂降りの雨にもかかわらず、数人が集まってきて「どうしたの?」と声をかけてくれ、「バッテリーのケーブルあるよ。」とジャンプスタートさせてくれました。

また、トイレでのオムツ替えで子どもが泣いていると、「何か手伝おうか?」と聞いてくれたり、国内線に乗った時には斜め後ろの乗客が子どもを抱っこしててあげると30分もあやしてくれました。

このように「困っていると必ず誰かが声をかけてくれる」「どうしよう、、、と思った時にすかさず手を差し伸べてくれる」アメリカはそんな国。他人に声をかけることはなかなか勇気がいりますが、すぐ行動に移す人がとても多いなと思います。

5. 買い物天国(キャッシュレス、返品)

アメリカはカード社会だとよく聞くかと思いますが、その通りほぼキャッシュレスで買い物ができます。なので基本的に現金は持ち歩かないのです。(強盗にすぐ差し出す用に護身用として$20札は持ち歩くようにしていましたが…)

また、旅行の際には手渡しでのチップがいる場面があるので、必ず現金は$1〜10札くらいは持っていきます。が、基本はクレジットカードですべて支払いが可能なのです。

支払いはほぼカードなのでアメリカ生活は財布も持たず身軽でした。その一方で、カードが勝手に使われることもしばしば!しかし、そんな時はすぐにカード会社から連絡がくるので大事には至りません。

そして、アメリカでの買い物で最も驚いたことは、”返品“!使用していないモノで返品できないものはないのでは?と思うくらい、服におもちゃに雑貨、食品までありとあらゆるものの返品が可能です。

値札とレシートさえあれば、とても気軽に簡単に返品することができるのです。返品する際は不良品だったかどうかは聞かれますが、返品理由などとくに聞かれることもなくサクッと返品、そして返金してもらえます。

そのため、気になったらとりあえず買う!笑 最悪返品すればいっかとやたら買ってしまいます。買い物カートがそもそも大きいのですが、カートいっぱいに商品を入れてレジに並ぶ人の多いこと!特に服や雑貨は数十点買う人をよく見かけます。

6. 多種多様な選択肢

アメリカには様々な国から人が集まり、違うルーツを持つ人が住んでいます。国、文化、宗教などそれぞれ違うので”選択肢の幅が広い”のだと思いますが、それは特に”食”や”商品”に関して顕著に表れているのです。

“食”においては、Non-GMO(非遺伝子組み換え)、オーガニック表示のものやビーガン、ベジタリアン、さらにアレルギー対応のものなど同じ食品でもこれだけバラエティー豊かなものがスーパーマーケットに並んでいます。

スーパーマーケットが広いのは言うまでもありませんが、商品の種類がとても多いのです。ミルクだけでも、牛乳、豆乳、ライス、ココナッツ、アーモンド、ヘンプ、オーツなど多種類の中から選ぶことができます。

また、レストランでは必ずと言っていいほど”ベジタリアン対応メニュー”があります。どこへ行ってもお肉以外のチョイスができるのが嬉しいところ!また、サンドウィッチやボウルなどのお店ではトッピングをカスタマイズできるお店が非常に多いのです。

そして、食べ物以外にもコスメから日用雑貨までありとあらゆるものに対して多数の企業が新しい商品を開発し、販売しています。スーパーなどで買える大手のブランドだけではなく、ネットを通じてマイナーブランドの商品も幅広く購入できるのです。

近年のSDGsの高まりもあり、人、動物、環境に優しい製品の種類も豊富です。添加物、人工化合物、毒薬など避けたいと思うものを一切使わない商品がとても自然に身近にあるので人々の意識も高まっています。

7. ボランティア精神

アメリカで最も驚いたことのひとつに”教会”があるのですが、日本のコンビニ並にあるんじゃないかと思うほど至るところに教会があります。それだけクリスチャンの数も多く、信仰深い人が多い印象です。

そして、寄付がとても身近にあり、あらゆるところで盛んに行われています。例えば、スーパーマーケットや子供服店では会計時にフードバンクや病気の子ども達のために”寄付しますか?”とよく聞かれます。

また、毎年11月の感謝祭に向けてフードバンクの活動も活発になり、よくイベントやスクールなどでいらなくなった日持ちする食品(缶詰やパスタなど)の寄付を募っており、多くの寄付が集まります。

息子の通っていたプリスクールでは、毎年クリスマスに虐待やネグレクトにあった子ども達にギフトをプレゼントする取り組みをしていました。(子ども達の希望のギフトをそれぞれ買いに行き送ります。)

さらに、よく街中で見かけるのが、生活費の寄付を募っているホームレスの人や家族連れなのですが、通りがかりにお金や物を寄付する人が大人から子どもまで大勢います。しかも、渡す時には激励したり握手をする人も多々いました。

このように明日は我が身ではないですが、他人の境遇に共感し、困っている人の人生がより良いものになるようにと幸運を願う人が多く、寄付自体が身近で小さい頃からその精神が身についている人も多いのだと思いました。

アメリカの悲しい現実

1. 銃社会

高校で起きた銃乱射事件で、多くの生徒が犠牲になったというニュースを昔日本で見て、衝撃を受けたことを覚えていますが、アメリカでは銃規制はされているものの州によって異なり比較的誰でも簡単に購入でき、所持することができるのです。

銃は護身用に持つということが浸透しており、一般市民でも普通に銃を持っています。今や3人に1人の割合で必ず銃を所持しており、パンデミック以降銃の売上自体も増え続けているのが現状です。

そして、アメリカは世界一銃での死亡事故が多いのですが、その数は自動車事故とほぼ同じと言われています。また、子どもの死亡原因の一位が銃によるもの。毎年、乳幼児を含む子ども達が犠牲になっているのです。

私の住んでいた地域は治安の良いところでしたが、一番近くの郵便局では銃による殺人事件が起きました。また車で30分ほどの地域では日常的に発砲事件があり、ローカルニュースでは毎日のように銃による死亡事故も起きていました。

治安の悪い地域行かない、夜出歩かないなど普通に生活していれば銃を持つ人に遭遇することは滅多にありませんが、銃乱射事件を含め発砲事件も多いアメリカでは突然それらに巻き込まれる可能性もあるのです。

2. 人種問題

昨年は”ブラックライブズマター”運動により人種差別についてより深く考えさせられることになりました。多種多様な文化や人々がともに暮らすアメリカでは他人に寛容的である一方で、この問題は非常に根深いものがあるのです。

近年の白人警察による黒人に対する不当な逮捕や殺人が次々と明らかになり、SNSなどの発達により多くの人々が知ることとなりました。さらに、これらを受けて大統領選挙では人種差別が大きな争点にもなりました。

アメリカの歴史から考えれば、奴隷解放から少しずつ良くはなっているとは思いますが、常に社会問題として抱えているのは確かです。そしてパンデミックの影響で人々の不安や不満が高まり表面化しているのが現状です。

それが、アジアンヘイトでもあります。もともと潜在的にある差別意識がパンデミックにより一気に加速し、多くのアジア系アメリカ人(日本人含む)が突然罵倒されたり暴行を受けるなどの被害を受けています。

私自身、罵倒されたり差別されたと感じたことはありませんが(気がつかなかっただけかも!)やはりアジアンヘイト関連のニュースを聞くたび、人とすれ違う時などに少し恐怖心が芽生えました。

このように人種差別はまだまだ根強くある一方で、幼児用のテレビ番組や絵本などで人種問題をテーマに扱うことも多く、幼い頃から自然と”知ること学ぶことができる”のは良い点だと思います。

3. 子どもの誘拐、人身売買

アメリカでは子どもの誘拐が多発しています。年間36万人の子ども達が行方不明になっていると言われているのですが、一瞬でも目を離すと命取り。公共の場では特に1秒たりとも子どもから離れてはいけないとよく言われます。

買い物や散歩中に少し子どもから目を離しただけで他人から注意を受けるほどとても敏感です。私も一度だけ店内で息子を見失ってしまったことがあったのですが、この時はさすがに血の気が引きました。(事なきを得て良かった!)

誰もいないところで誘拐する事案はもちろんですが、実は親と一緒にいる時や目撃者がいる中で突然連れ去るパターンもあるようです。なので、子連れで外出する時は頭に留めておくと良いです。

アメリカではAMBERアラートという緊急事態宣言システムがあり、誘拐事件が発生した際にはテレビやラジオなどあらゆるメディアから地域住民にその内容が伝えられます。携帯も自然災害時と同じようにアラートがなるようになっています。

アラートでは誘拐された子どもの特徴とともに犯人の車の特徴が配信されています。携帯が突然大きな音で鳴るのでいつもビックリするのですが、さらに驚くことはこのAMBERアラートが本当に頻繁に鳴っていたことです。

そして、アメリカでは人身売買が目的で誘拐されることがあるのです。実際にこのような被害から抜け出した女性に話を聞く機会があったのですが、耳を疑うようなことが今でも本当に起きているのです。

アメリカは住みやすい国

私はアメリカという国が昔から大好きで、いつか住みたいと漠然と思っていたのですが、実際に住んでみてとても学びが多くアメリカに住む人達の人柄が特に好きなのだと改めて思いました。

アメリカンドリームという心躍る言葉があるように、この国の人々はユーモアとバイタリティーに溢れ、ポジティブさとハングリー精神で道を切り開いていく強さと優しさが国全体の雰囲気としてあると思います。

また、アメリカでの生活に慣れてきて、気づいてしまったカルチャーショックは笑えるものばかりではなく、それらは日本とは大きく違い衝撃を受けますが、それでもやはり住みやすいと思います。

まず、広大な土地は心にもスペースを与えるので、他人と良い距離感が保てます。そして、他人に対して気にかける人は多いのですが、気にする人はあまりいないので、お互いを尊重し、それぞれが自分の好きを楽しみ、幸せを追求できるような気がします。

以上、アメリカに6年住んでみてリアルで見てきたこと感じたことでした。様々な問題もありますが、それ以上に魅力的な国だと思います。これからアメリカに行くまたは住む予定のある人、漠然と興味のある人の参考になれば幸いです。

 

 

愛を込めて…

Noriko